社内結婚を理由として異動命令の可否について(2)

 では、不利益な配置転換(人事異動)となるのはどのような場合かということになりますが、原則として、職務限定(経理のみなど)で採用した者でない限り、会社は人事権を有しており、広く配置転換を命ずることができます。会社が有効に配置転換を命ずるには、配置転換に関する事項を就業規則などに定めておく必要があります。配置転換に関する定め合理的なものであれば、就業規則の内容が労働契約の一部となり、会社は本人の同意を得ずとも、配置転換を命ずることができ、労働者はそれを正当な理由なく拒むことはできません。

 ただし、就業規則に配置・転勤条項の定めがあっても、個別具体的な配置転換命令が、権利濫用に該当すると判断される場合には、その配置転換命令が無効となる可能性があります。具体的には、

①業務上の必要性がないもの

②不当な動機・目的によるもの

③労働者に著しい不利益が生じるもの

 以上のいずれかに該当する場合には、人事権の濫用を問われて違法となり、配置転換が無効となる可能性があります。違法な配置転換を行った場合には、労働者から配置転換の無効を主張されることもあり、その主張が裁判等で認められた場合には、当該労働者を元の職種・場所で就業させなければなりません。男女雇用機会均等法に照らし慎重な判断をすべきです。

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