有期雇用契約の上限年齢を定めることができるか(2)

 厚生労働省のモデル労働条件通知書では、通算契約期間または更新回数についてのみ規定しており、年齢については書かれておりませんが、労働局によれば年齢による方法も違法とまではいえないとしております。

 ただし、就業規則の規定は確認する必要があります。

 したがって個別の契約のみで上限年齢を定めるのではなく、就業規則でたとえば、更新上限を設けることがあるという根拠とともに委任条項を規定したり、上限等について特別の定めをした場合は、その定めを優先するなどといった規定を付け加えることが考えられます。

 あるいは上限年齢を明示したい場合も留意が必要です。60歳の誕生日までとして、さらに具体的にいつまでの期間なのか、具体的な期間を記載しておくことがよいでしょう。

有期雇用契約の上限年齢を定めることができるか

 2024年4月から労働条件の明示ルールが変更され、新たに「就業場所・業務の変更の範囲」などが明示事項に追加されました。

 また、有期労働契約の従業員に対しては更新上限がある場合の通算契約期間の上限・更新回数の上限を明示する必要と、労働契約締結後に更新上限を新設・短縮する場合の説明が必要になります。

 有期契約を長期間反復更新している場合でも、運用として一定の年齢を上限にしていることもあり得ます。もっとも年齢を書くとその年齢まで契約更新が必要になるのではという懸念も生まれます

 あくまで契約期間の上限であり、上限よりも前に契約が終了する可能性があることは、更新基準を明示するうえであらかじめ説明するべきと言えます。

 正社員の定年のようなイメージで一定の年齢を上限と定める場合の注意点について、次回解説します。

会社情報の漏洩行為は懲戒解雇に当たるか?

 転職する人が増えていますが、競合他社への転職をする人も少なくありません。その際に注意したいのが会社に損害を与えかねない営業秘密など会社情報の持ち出しです。

 不動産会社の経理部長代理の職にあった元従業員が、会社の事業全般に関する情報を持ち出したことに対し、東京地方裁判所は「転職先で利用し、自らまたは転職先の利益を図ろうしたとものであり、不正に利益を得ることを禁止する就業規則条項に違反し、懲戒事由に該当する」としています。

 持出行為によって現に競合他社に情報が漏洩した事実までは認められず、元従業員が一定の範囲で会社の調査に協力していること等の有利な事情を踏まえても、会社の懲戒解雇には相当性があるとして、退職金の請求を棄却しました。

学生時代の国民年金は納めた方が良い?(2)

 現在(令和6年)に令和4年度の国民年金保険料を納める場合、1か月あたり16590円を納めることになり1年では199080円となります。これだけ納めることで将来の1年間で受給できる金額が19200円ほど増えます。

 また、追納した国民年金保険料は所得税の計算の際にも引かれますので、年収300万円の場合1万円ほど所得税が少なくなります。

 これからの自らのライフプランを考えるのに遅いことはありませんので、よく検討して追納制度の利用も考慮してください。

 ただし、追納制度は保険料を納めていない古い期間から納めるものになります。

「3年度以上前の加算がされているものではなくて、加算がされていない去年の分を納める」や「保険料の低い年だけ納めたい」ということはできませんのでご注意ください。

学生時代の国民年金は納めた方が良い?

 4月から大学などを卒業されて、新社会人になった方が多くいると思います。

 国内に住所を有する20歳以上の方は国民年金への加入義務がありますが、学生時代は学生納付特例という保険料の納付を猶予する制度があり、国民年金の保険料を納めていなかった方も多いかと思います。

 この納付が猶予されていた期間の国民年金の保険料を後から納めることができるのが追納制度で、追納制度を利用することで将来の国民年金の受け取れる金額を増やすことができます。

 追納制度は10年前の免除期間までの保険料を納めることができますが、3年度以降に納めると加算額が発生します。例えば、現在(令和6年)ですと令和4年度の保険料には加算額がありませんが、令和3年度より前の保険料には加算額が上乗せされています。

 加算額は大きくありませんが、この点を考慮すると追納制度を利用する場合は早めに利用するのがお得と言えます。

 追納した場合の国民年金の増額と、社会保険料控除について次回見ていきたいと思います。

付与基準日の直前に復職した労働者に年次有給休暇5日分を付与しなければならない?

 前回は有給を取得させることができない場合は、労働基準法違反にならないことを述べました。では、付与基準日から1年間の途中に休職期間が終了し、職場復帰した労働者についてはどうなるのでしょうか。

 この場合は当該労働者の意見を聴取して5日間の年次有給休暇を取得させなければなりません。この点については、育児休業や介護休業から復帰した労働者についても同様です。付与基準日から1年間の期間の途中に育児休業や介護休業を終了し職場復帰した労働者についても、5日間の年次有給休暇を取得させなければなりません。

 ただし、復帰後の新たな付与基準日までの残りの期間における所定労働日数が、使用者が時季を指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日間全日数の年次有給休暇を取得させることが、実質的に不可能な場合には、可能な日数を取得させることで差し支えありません。

休職明けの年次有給休暇の取得義務について

 労働基準法上、年次有給休暇は労働者の雇用形態別にその勤務年数に応じて必要な付与日数が定められています。また、新たに年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、付与日から1年以内に5日間(繰越分を含む)について必ず取得させなければなりません。

 本来、年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることを原則としていますが、5日の強制取得義務があるため、当該5日分については、会社が年次有給休暇管理簿を作成して、労働者の年次有給休暇の取得状況を確認し、取得していない労働者については会社が取得時季を指定する必要があります。この取得義務に反した場合には、罰則として違反者1人について30万円以下の罰金適用される場合も有りますので注意しなければなりません。

 年次有給休暇と休職の関係について見ると、年次有給休暇とは労働義務のある日の労働義務を免除する制度です。他方、休職とは雇用関係を維持しつつ、配属された所属を離れ、労働義務を免除された状態をいいます。休職制度は必ず設けなければならない法的義務はないものの、ほとんどの会社がこの休職制度を設けています。

 このように年次有給休暇も休職もともに、本来の労働日について労働を免除されるものであり、、その関係性において行政解釈では「休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるのとどまり、会社に対して全く労働義務を免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務のない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができないと解する」(昭31.2.13基収第489号)としています。

 したがって、例えば、付与基準日が4月1日から1年間またはそれ以前から休職しており、期間中に一度も復職しなかった場合などは、使用者にとって5日取得させる義務の履行ができないことになりますので、これをもって労働基準法違反を問われることはありません。

介護と仕事の両立(5)

 これまで解説してきた措置以外に所定外労働、時間外労働、深夜業の制限を求めることができます。

 それぞれ対象となる労働者が異なりますので、確認が必要です。

 所定外労働とは就業規則等に定められている勤務時間を超える労働で、時間外とは原則1日8時間、1週間で40時間を超える労働、深夜業は午後十時から午前五時までの労働のことを言います。

 時間外労働は1か月24時間、1年で150時間を超える労働が制限されます。

 例外として事業主は事業の正常な運営を妨げる場合は労働者の請求を拒めますが、事業の正常な運営を妨げるか否かは作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易等の事情を考慮して客観的に判断されますので、安易に労働者の請求を拒否することがないようにしてください。

介護と仕事の両立(4)

 介護休業と介護休暇について前回までに解説しましたが、これらと併せて事業主は短時間勤務等の措置を設ける必要があります。

 1日の所定労働時間の短縮や勤務しない日を定める短時間勤務制度、フレックスタイム、時差出勤制度、介護サービスの費用の助成のいずれか一つ以上の制度がその対象となります。

 対象となる労働者や家族は介護休暇と同様です。

 利用期間・回数に関しては対象家族一人につき「3年以上の期間で2回以上」と定められています。

 介護休業や介護休暇に比べて長い期間利用することができますので、短時間勤務等の措置も利用することで介護と仕事の両立を図りましょう。

介護と仕事の両立(3)

 介護休業と違い、通院への付き添いなど短時間の休みが必要な場合は介護休暇を取得することができます。

 対象となる家族は介護休業の場合と同じで、労使協定を締結している場合は入社6か月未満の労働者や1週間の所定労働日数が2日以下の労働者を対象外とすることができますが、原則として対象となる労働者は日々雇い入れられる者以外となっています。

 有給休暇とは別に休暇を取ることができますが、有給か無給かは会社の規定によります。また、雇用保険からの介護休業給付のような制度もありません。

 休暇を取得することのできる日数は対象家族が一人の場合は年5日、二人以上の場合は年10日までとなっています。

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