残業したくない社員が注意しても休憩時間を短縮して業務を遂行した場合、企業側の責任はあるのか?(2)
休憩時間を与えることは労働基準法できちんと定められています。しかしながら、どうしても終業時刻以降に残業したくないという理由で、昼の休憩時間帯の一部を仕事に充てたい労働者がいることも考えられます。このような場合には、労働基準法上、個人の事情によって法違反を犯すことはできない旨を伝え、法律とおりの休憩を取得させるべきでしょう。
それでも、業務量および業務内容から残業せざるを得ないのであれば、残業を命ずるか否かを判断すべきです。その結果、残業が必要と認められるものであれば残業を命ずるなどの対応が必要です。このような判断に従わなかった場合には、業務命令違反となり懲戒処分も可能となります。
また固定(定額)残業代を導入している会社の場合も同様の事象が発生する可能性があります。例えば、固定残業時間を20時間とした固定残業代を導入している場合、時間外労働が20時間までは、残業の有無または残業時間の長短にかかわらず固定残業代を支払わなければなりません。それに対して、残業せずに済む状態、または残業を20時間より少しでも短くすれば、固定残業代は労働者にとって有益な賃金となります。
しかし、そうした個人的な理由で昼の休憩時間に仕事をするような事態を放置すれば、会社として法違反の常態化を黙認することにもなります。したがって、休憩時間帯において仕事をしないように指導・注意を行い、それでも改善されないのであれば、懲戒処分を行うなどの対応も検討する必要があります。