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「静かな退職」という働き方

 最近、「静かな退職」が話題になっています。これは、会社を辞めることはしないものの、仕事に対する熱意はなく、必要最低限の仕事を淡々とこなす働き方のことです。アメリカのあるキャリアコーチが提唱したことをきっかけに、欧米でこの概念が広まって日本でも注目されるようになりました。

 こうした状況のもと、就職情報サイトの運営等を手掛けるマイナビが「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」を実施したところ、「静かな退職をしている」と答えた人の割合は44.5%に上がりました。さらに、この「静かな退職をしている」人に「静かな退職で得られたものがあるか」と尋ねたところ、54.7%の人が「得られたものがある」と回答。その内容は、「休日や労働時間、自分の時間への満足感」(23.0%)が最多で、次いで「仕事量に対する給与額への満足感」(13.3%)、「職場内の良好な人間関係」(12.7%)の順で続いています。

 調査では、コストパフォーマンス重視やもともと昇進を求めない価値観の人がいる一方で、仕事内容や職場環境の不一致、評価・処遇への不満などが要因で、不本意ながら「静かな退職」を選択している人がいると分析。そのうえで、少しでも不本意ながら「静かな退職」をする人を生み出さないよう、企業には働き方の工夫や制度改革が求められるだろう、とまとめています。

会社都合退職と離職票の見方(6)

 契約内容を変更して週20時間になったことによる資格喪失の際の喪失原因を間違えやすいことには以前触れましたが、有期契約の方の離職の際の離職区分・喪失原因も間違えやすいものになります。契約期間が経過したことによる離職は原則として離職区分が「2A」~「2D」のいずれかになりますが、以下のすべてに該当する場合は離職区分「1A」の解雇として扱われ、喪失原因も「3」の会社都合の退職となります。

①契約の更新が1回以上行われ、さらに計三年以上である

➁当該契約に雇止めの通知がない

③労働者が更新を希望した

 上記の条件のすべてに該当する場合は、実質的に無期契約と変わりないにも関わらず、事業主側が一方的に労働契約を終了させたとして解雇に相当すると扱われます。

 これまで喪失原因や離職区分についてせつめいしてきましたが、一般的な使われ方の「会社都合の退職」や「自己都合の退職」と、雇用保険や雇用関係の助成金における「会社都合の退職」や「自己都合の退職」が別のものであることを理解できたでしょうか。

 離職区分や喪失原因の誤りは助成金の受給や離職者との思わぬトラブルにもつながりかねません。訂正する場合も電子申請での訂正はできず、紙媒体での離職票の訂正が必要となり、本来生じなかった手間が生じることになりますので、退職の理由と雇用保険の離職区分、喪失原因との関係を理解したうえで、適切な手続きするように心がけましょう。

会社都合退職と離職票の見方(5)

 離職区分の詳細は次のようになります。

 

1A…解雇

1B…天災その他やむを得ない理由による解雇

2A 特定雇止めによる離職(雇用期間3年以上雇止め通知あり)

2B 特定雇止めによる離職(雇用期間3年未満等更新明示あり)

2C 特定理由の契約期間満了による離職(雇用期間3年未満等更新明示なし)

2D 契約期間満了による離職

2E 定年、移籍出向

3A 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職

3B 事業所移転に伴う正当理由のなる自己都合退職

3C 正当な理由のある自己都合退職

(3D 現在は使われていない離職区分)

4D 正当な理由のない自己都合退職

5E 被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇

 

上記の離職区分で、喪失原因が「3」になるのは原則として「1A」と「3A」になります。「1A」の場合は例外なく喪失原因は「3」となり、離職区分が「3A」の場合は喪失原因が「2」になることも「3」になることもあります。

会社の手続きした離職理由と離職者の考える離職理由が異なるときは、会社側の記載に基づいて離職区分が判断されます。その後、離職者が離職票に記載されている離職理由が誤っていると思うときは、ハローワークに異議申し立てをして訂正が必要かハローワークの判断するところとなります。

 次回間違えやすい離職区分について説明します。

会社都合退職と離職票の見方(4)

 会社都合の退職にあたる喪失原因と離職の失業給付の資格に係る離職区分が別であることに前回触れました。

 手続きをした離職票の離職区分がどのように扱われたかは、日数や賃金額が記載されている離職票2の右端で確認できます。複数の離職区分にチェックが入っている場合は、その二つの離職区分のどちらに当たるか判断がつかないため、離職者から具体的事情を聞いた後に正式な離職区分が決定されます。

 実際のケースでは「2C」又は「2D」の組み合わせと「3C」又は「4D」組み合わせになるかと思います。なお、この組み合わせでどちらが選択されても喪失原因が変更されることはありません。

 それでは離職区分について解説していきます。おおまかな区分として、1で始まるのは解雇、2は契約期間の満了、3は正当な理由のある自己都合となります。

 1~3はAから始まっていますが、4は4Dの「正当な理由のない自己都合退職」、5は5Eの重責解雇のみとなっています。

 離職区分の細かい違いを次回確認していきます。

会社都合退職と離職票の見方(3)

 離職区分は喪失原因より細かい離職の理由ごとに「1A」~「5E」に分類されています。「1A」は解雇、「2E」は定年などとなっており、離職区分が「1A」から喪失原因は「3」、「2E」なら喪失原因が「2」などと関連付けられています。

 「会社都合で辞めた場合は失業給付がすぐに貰える」などといった記事をご覧になったことがある方もいらっしゃるかと思いますが、失業給付に関わってくるのはこの離職区分になります。本来の会社都合の退職を意味する喪失原因は失業給付については影響しません。

 したがって、喪失原因「2」=自己都合退職で離職区分が「3C」=正当な自己都合退職として会社都合で離職した方と同じ内容の失業給付を受けるケースなどが発生します。

 会社側にとっての会社都合である喪失原因と、離職者にとっての給付に係る離職区分は別であることを理解しておきましょう。

会社都合退職と離職票の見方(2)

 離職票の喪失原因は「1」~「3」の3種類に分類されます。

喪失原因の「1」は離職以外の理由により雇用保険の資格を喪失した場合になります。具体的には被保険者が死亡した場合と在籍出向にあたります。

 喪失原因の「2」は喪失原因の「1」と「3」以外のものと定められています。いわゆる自己都合の退職や定年、契約期間の満了による退職などが喪失原因の「2」に該当します。

 間違えやすいのは契約内容を変更して週20時間になったことにより資格を喪失した場合です。労働時間が短くなって雇用保険の資格は喪失しますが、離職したわけではないからと喪失原因を「1」とするのは誤りです。雇用保険のルールでは、雇用保険の資格を喪失することを離職と呼んでいますので、事業主の都合によらない離職として喪失原因「2」となります。

 そして、喪失原因の「3」が事業主の都合による離職となります。具体的には解雇、退職勧奨に応じた場合等になります。

 喪失原因がどのように処理されたかは、手続き後に交付される資格喪失確認通知書の喪失原因の欄に「1」~「3」のいずれかが記載されます。

 ここで注意したいのが、離職区分という別の区分が存在することです。この離職区分について、次回確認します。

会社都合退職と離職票の見方

 雇用関係の助成金では、会社都合の退職者を出すと支給対象から外れることがあります。このこと自体はご存じの方も多いかと思いますが、この「会社都合の退職」が具体的にどのようなものかがはっきり分からないという方も多いのではないでしょうか。離職証明書の見方などを通して、雇用保険上の「会社都合の退職」がどのようなものかをはっきりさせたいと思います。

 まず、助成金の支給要領を確認しましょう。助成金の種類によって多少違いはありますが、おおむねこのように書かれています。

 「支給対象者を、支給申請日までに事業主都合で解雇等(退職勧奨を含む。)していないこと。」

 「なお、解雇等とは(中略)雇用保険被保険者資格喪失の確認の際に喪失原因が「3」とされるものである」

 つまり会社都合、事業主都合などといろいろな呼び方はありますが、正確には「雇用保険の資格喪失の際に、喪失原因が「3」になる退職」のことを会社都合の退職などと呼んでいることになります。

では、この喪失原因とは何かを次回詳しく見ていきます。

官民人事交流により出向した場合の雇用保険の取り扱い

 民間企業等から3年間程度(最長5年間)、国の行政機関に従業員を出向させる交流採用の制度があります。経済産業省や厚生労働省など国の行政機関である府省等の職員として業務に取り組み、自らの企業にその経験を持ち帰ることになります。

 形式として交流期間終了後に民間企業に戻る「雇用継続型」と任期満了後に民間企業が再雇用する「退職型」があります。

 府省等の職員として職務に従事している間は、その府省等から給与が支払われ、健康保険や労災保険、年金も国家公務員等に準じて国家公務員共済組合等に加入することになります。ここで注意すべきは雇用保険の扱いです。

 公務員は原則として雇用保険の適用の対象となりませんが、「雇用継続型」の交流採用の場合は雇用保険の資格を継続します。「公務員だから雇用保険には加入しない」と思い、喪失手続きを誤って取ることがないように注意しましょう。

 交流採用が始まる場合は特段手続きは必要ありませんが、終了時には雇用継続交流採用終了届の提出が必要となりますので提出を忘れないようにしましょう。

雇用保険番号を複数持っていて、個人番号が登録できない時の対処法(2)

 雇用保険番号を複数持っている場合の訂正の仕方は、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得等届訂正願」を提出します。これは電子申請はできず、ハローワークに紙で提出する必要があります。「統一事項」の誤(旧)の欄に古い雇用保険番号、正(新)の欄に新しい雇用保険番号を記入します。添付書類は雇用保険被保険者証など新旧の雇用保険番号が分かる書類になります。

 雇用保険番号を複数持っていることが分かっているが、その番号が分からない場合は、現在の分かっている雇用保険番号を正(新)の欄に記入し、余白や他の欄にこれまで務めたことのある社名を記載することで、統一の手続きを行えます。また、事業所ではなくご本人が直接ハローワークに行き、雇用保険番号の統一をすることもできます。この場合は古い雇用保険番号を確認できる書類はあるに越したことはありませんが、なくても問題ありません。

雇用保険番号に連携されていた個人番号は、雇用保険番号の統一を行っても自動で新しい番号に連携はされません。そのため、古い雇用保険番号に個人番号が連携されていた場合、新しい雇用保険番号に個人番号を連携する手続きが必要になります。

雇用保険番号を複数持っていて、個人番号が登録できない時の対処法

 雇用保険の被保険者にそれぞれ振り当てられる雇用保険番号ですが、複数の雇用保険番号を一人で持っている場合があります。入社時に会社側は雇用保険番号を確認し、その番号で雇用保険の資格取得を行いますが、自分が雇用保険に加入していたことを知らない方や失念している方は「雇用保険に加入したことはありません」と会社に言ってしまい、会社側が新規取得として手続きを進めることがあります。

 これは都道府県によって異なりますが、雇用保険の手続きを行うハローワークでは、その方が本当に雇用保険に加入したことがないかはあまり確認しません。その結果として同じ人が雇用保険番号を複数持つことが起こります。雇用保険番号取得の手続きが終わってから、いざその雇用保険番号と個人番号を連携させようとしても、同一の個人番号は異なる雇用保険番号と連携できないので、この時点で同一人物が複数の雇用保険番号を持っていることが判明します。

 このようなケースが起こった場合の対処法について、次回説明したいと思います。

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